これは対人戦の動画の一部分です。

一見ただの開幕6HSブリンガーですが、
実はこの動画にはひとつだけ、ちょっとおかしい点があります。

それが何か、皆さんは解かったでしょうか?



 
 
 
・・・ま。
記事タイトルで完全にネタバレしちゃってますね。

この開幕ソルの動きは詳しく書くと、
「開幕6HS>BB>RC>空中ダッシュ」となっています。

聡明な皆さんならばお気づきでしょう。

そう、この動画、いつの間にかソルにジャンプ仕込みがされているのです。
そうでなければBBのRCのあとには空中ダッシュや二段ジャンプなどはできません。

それではこのソルは、一体いつJ仕込みをしたのか。



6HSはジャンプキャンセルができませんのでJ仕込みはできません。
また、通常技は必殺技とは違い、
ジャンプ移行フレームをキャンセルして出すことでJ仕込みをするということもできません
(そもそもキャンセルできない)。

つまり「開幕6HS>BB」は、普通に考えるとJ仕込みをするタイミングが皆無です。

ならば、どうしてソルがJ仕込み状態になっているのか…。



始めに正解を言ってしまうと、
実はこのJ仕込みは記事タイトルにもなっている通り、
なんと「前のラウンドから持ち越してきたもの」なのですよ!!



『前回のラウンドからのJ仕込み持ち越し』…。

これにより、動画のソルは開幕時からJ仕込み状態になっていて、
6HSを出した時点でJ仕込みがされているのです。



◆J仕込み持ち越しのやり方

以下のどちらかの条件を満たした上で、そのラウンドを終了させます。

A.相手をSLASHしたあと、死体殴り時間中に通常ジャンプ(一段ジャンプ)をし、
そのジャンプ中に死体殴り時間が終了する


B.一段ジャンプをし、その最中に相手の攻撃を喰らってSLASHされる





これだけで次のラウンドは自キャラがJ仕込み状態で始まります

しかし、ひとつ問題点。
このJ仕込みはキャラがニュートラル立ち状態などになると一瞬で無くなってしまいます。
つまりせっかく前ラウンドから持ち込んで来たJ仕込みも、
何もしなければラウンド開始直後になくなるということです。




ではどうすればいいのか。
その『J仕込み状態で始まったラウンドで、開幕後に最速で
何らかの技を振ることで、その技にJ仕込みがされる

というのを利用します。



例えばこの動画ではソルが開幕で最速で6HSを振っています。

こうすることでソルが立ちニュートラル状態になるよりも早く
6HSの動作に移行し、J仕込みがされた6HSを出すことができています。


最速というのは本当に最速で、おそらく猶予1Fです。
人間の手では安定させるのはかなり難しいでしょう。





このJ仕込み持ち越しバグにより、
動画のような本来なら開幕にはできない動きが可能になります。



とはいえ、このバグは基本的には

恐ろしく地味

です。


なぜならば…



@再現が難しい

第1条件である「空中でSLASHされる」「相手を倒したあと一段ジャンプをする」
などは簡単ですが、その後更に「次ラウンド開始時に最速行動が必要」というのがキツいです。

その猶予は1F。
連打で頑張ろうが目押しで頑張ろうが、辛いことには変わりありません。


ちなみに北斗の拳ではラウンド開始前にボタン押しっぱなしにしておくと
勝手に最速で攻撃が出る
そうです。
うらやましい。

もしもギルティギアもこういうシステムだったら、
よりフレームデータ(特に発生)を気にしながら開幕行動を選択する必要がでてきそうですね。




A見た目的にも地味で解かりにくい

J仕込みをラウンドをまたいで持ち越せるというのは大変面白いのですが、
動画を見ての通り、その見た目はあまりにも地味です。

そのため、コンボムービーなどのネタとしてはかなり使いにくいでしょう。
案外、結構致命的。

興味深く独特なネタであるだけに、もったいないです…。





BJ仕込み持ち越しバグならではの動きがほぼない

例えばこのJ仕込み持ち越しバグを使えば、
開幕直後に236K入力をすることで、
J仕込みバンディットブリンガーが出せます。

しかしそんなものは2369Kのジャンプ移行フレームキャンセル方式で簡単に可能です。
もちろんJ仕込み持ち越しBBなら9入力の必要がないので、早く出せますが…。

また、開幕直後にジャンプキャンセル可能な通常技を出した場合も、
わざわざJ仕込み持ち越しバグを使う意味はほぼ皆無になります。

例えば動画では「開幕6HS>BB」となっていますが、
これが「立ちHS>BB」だったとすると、
ただ立ちHSがヒットした瞬間に普通にJ仕込みをすれば、
その後BBをRCして空中ジャンプや空中ダッシュが可能です。
前ラウンドからJ仕込みを持ち込もうが持ち込むまいが変わりはありません。



「このJ仕込み持ち越しバグがなければ出来ない動き」というのは、
動画でやっている「ジャンプキャンセル不能技の通常技>そこから必殺技で空中に飛ぶ>RC>空中ダッシュ」
とか、
コマンドの性質上ジャンプ移行フレームキャンセルで出すのが非常に難しい
チップの毅式転移>空中ダッシュとかくらいなんです。

そして、それですら「開幕直後に」という条件をはずせば、
通常ジャンプの着地の瞬間に出すことで簡単に再現できてしまいます…。



と、まぁ、面白いネタであるだけに扱いに困るバグですね。

むしろこのバグを知って「他にもラウンド持ち越し要素のあるバグがあるんじゃないか?」
と思えたのが最大の収穫でした。


自分が知っている持ち越しバグは、
他にはこの「クリーンヒットストップバグ」くらいです。
http://guiltyjake.web.fc2.com/swcl.html
http://guiltyjake.web.fc2.com/swcl2.html












実は今回のネタは、今まで俺が何度もお世話になってきた
しゅうじさんが見つけてくれたものです。

この方は北斗プレイヤーでもあるのですが、
なんでも北斗の拳でも似たようなラウンド持ち越しバグがあるらしく、
同じようにギルティで試してみたら今回のネタを発見されたそうです。

やはり同じメーカーのゲームなのでプログラム製作のノウハウを使いまわしていて、
根本的なところでシステム的に似通っている部分があるのでしょうか。

なんにせよ、その柔軟な応用力を発揮してくださったしゅうじさんに、感謝。






ちなみにアーケードでも可能であることは確認済みです。
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