イノのダストの特殊な性質について。

まずは動画の前半部分をごらんください。
イノのダストがジョニーに地上ヒットしているのにも関わらず、
きりもみ回転喰らいではなく普通にのけぞり喰らいになっています



これの原理を説明するためには、イノのダストの性質と、
それによって引き起こされる現象を解説しなければなりません。

まず大前提として、
イノのダストは打撃技であるにも関わらず、
本体とは独立して動く攻撃判定を持った飛び道具的エフェクトを飛ばして攻撃する技

という点を把握することが重要です。

イノのダストは本体にヒットストップがあり、RCができ、アクセルの天放石で取れることからも、
間違いなく打撃技であると言えます。
しかしそれと同時に、本体の動きに左右されないという飛び道具的性能も含んでいるのです。
つまりイノのダストの音波のようなものは、これ自体は飛び道具と思って貰っても構いません。

ただし、基本的にダストの攻撃判定(を持った飛び道具部分)は、
本体が攻撃を食らうとその瞬間に消滅してしまいます。
そして当たり前ですがダストの動作中はイノは動けないので、
「スタンエッジチャージアタックを出した後、ダッシュして飛び道具と共に攻める」ように、
「ダストの攻撃判定が出ている時に、イノは別の行動をとる」、といったことは本来はできません

つまりこのダストのエフェクトが飛び道具的性質を持っていると言っても、
それを活かすことは通常では不可能なのです。

ところが、それを可能にするのが家庭用SLASH、および家庭用無印ACに存在した
ガードFIRSTバグです。
(この名前、このブログで何度出てきたことでしょうか)
むしろこのバグの存在によって、イノのダストは飛び道具的性質を持つことが
明らかになったというのが真実です。



ガードFIRSTバグというのは、トレモのダミー(相手)の設定をコレにすることで、
ダミーがいついかなる状況であろうとも、
攻撃された場合はその時行っていた行動を強制キャンセルしてガードをする

というバグです。

そこでダミーのイノにダストを打たせて、
音波が出現した瞬間に攻撃を当ててガードFIRSTによってガードさせると、
イノはガードモーションに入ったにも関わらず音波が消えません
この瞬間、間違いなくダストの攻撃判定とイノ本体が別々に動いていることになります。
音波が消える条件に「イノに攻撃がヒットしたとき」がある一方で、
「イノが攻撃をガードしたとき」は音波が消える条件ではない、ということですね。
もちろん、ガードFIRSTバグを使わない限りダストを強制キャンセルしてガード、
なんてことは不可能ですので、本来ならこの処理の仕方には何の問題もありません。



さて、この方法でイノはガードモーション、
打撃技であるダストの攻撃判定は生きたまま動いている、という状態になります。

しかし前述の通りダストの攻撃判定はあくまで打撃技、本体攻撃です。
つまりこの状況を分かりやすく言うと、
「ソルが立ちHSを出しながら同時にガードをしている」というのとまったく同じ状態です。
いかにこの現象が異様なのか、この例から読み取っていただけたでしょうか。

その結果いかなることが起こるのかというと、
イノのダストの攻撃の効果が、
ダメージ0 ガード不能 ヒット時は斬撃エフェクト 地上のけぞり
という性能に変化します。
これがヒットしているのが、上の動画の前半部分で起きていることです。

おそらくは打撃技のヒット時の効果は、
その時の本体のモーションから判断される、みたいな仕組みなのではないかと思います。

例えばこのような感じ。

ソルの立ちHSがヒットする

現在ソルは「立ちHS」を出している

立ちHSヒット時の効果を「立ちHS」に設定されているものにする

「ダメージ40 上段ガード ヒット時は斬撃エフェクト 地上のけぞり」


ところが今回のイノのダストのケースでは、

イノのダストがヒットする

現在イノは「ガード」をしている

ダストのヒット時の効果を「ガード」に設定されているものにする

ガードに設定された攻撃情報とかそんなのありません

とりあえず「ダメージ0 ガード不能 ヒット時は斬撃エフェクト 地上のけぞり
になる

こんなところかと。
この
ダメージ0 ガード不能 ヒット時は斬撃エフェクト 地上のけぞり
というのは、打撃技の攻撃効果情報が読み取れなかった際に出現する、
最低限の攻撃効果情報(何も設定されていない初期状態の攻撃判定の効果)
であると思われます。
ループザループバグでも今回のネタとほぼ同様のことが起こせるのですが、
その際にもダメージ0ガード不能(以下略)という、まったく同じ効果の技になるからです。
ちなみにファウストやディズィーの挑発もこれと同じ攻撃効果です。



さて、先ほどのヒット時の効果を参照する際の処理手順ですが、
ここだけ見るとダストの音波がヒットした時点でイノが何かほかの打撃技を出している場合、
ダストヒット時の効果がその打撃技のものになるように見えます。

実際、そうなります。

例えばこんな手順。

イノがダストを出す

音波が出た瞬間に相手の攻撃をガードFIRSTバグでガード

ガード硬直が解けてから、ダストが相手にヒットする前に足払いを出す

ダストが相手にヒットする

現在イノは「足払い」をしている

ダストのヒット時の効果を「足払い」に設定されているものにする

ダストの効果が足払いと同じ
「ダメージ30くらい ダウン効果 打撃エフェクト」になる


・・・というのが、現実として起こります。

最初の動画の後半では足払いではなく一撃必殺技を放っており、
そのためダストのヒット時の効果が一撃必殺技のものと同じになっているということです。



ただし普通にこれを行おうとした場合、
イノのガード硬直中にダストの持続(音波)が切れてしまうか、
その前に相手に当たってしまいます。
つまりダストの攻撃判定が相手にまだ当たっていない状態で、
イノがほかの打撃技を出せる状況を作るというのが難しいのです。

ということで、普通ではない方法で攻めることになります。

まず、ダミーのガード設定をスラッシュバックにします。
これでイノは何をガードしてもガード硬直4Fになります。

しかし、このゲームにはヒットストップというものがあります。
攻撃レベル1の打撃技をガードした際にはお互いに11Fの、
レベル5ならば16Fのヒットストップによる停止時間が発生することになり、
現実世界に即して考えるとイノのガード硬直は実際には15F以上となってしまいます。
そして本体にヒットストップがかかっても、飛び道具の動きが停止することはありません。
そのため飛び道具的性質を持ったイノのダストの攻撃判定は、
イノがガード硬直中のこの15F以上の間にも動くことができてしまいます。
ダストの持続が12Fなので、ガード硬直中に確実に持続が終了してしまう計算です。

そこで活躍するのがミストファイナー。
この技はヒットストップが存在しないというかなり珍しい性質の技であり、
これをスラッシュバックでガードすれば、
ヒットストップを合わせて考えてもガード硬直が4Fになります。
しかもリーチが非常に長いので、イノと距離を離しながら
ガードFIRSTバグでガードさせることが可能というが非常に大きいです。

聖ソルの6Pもヒットストップが0なのですが、これだとイノと近い状況でガードさせねばならず
ダストにすぐに当たってしまいます。



というわけで、これでようやく、
「ダストの攻撃判定が相手にまだ当たる前に
イノのガード硬直が切れて自由に打撃技を出せる状況」
を作れました。
めでたしめでたし。

ちなみに、無印ACならGGモードの殺界の効果をダストにコピーすることも可能です。
よかったら試してみてください。



もしこのクソ分かりづらい解説を最初からここまで読みきった人がいたとしたら、
相当な変わりものですぜ!ありがとう!
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