『星丸町ヒーローズ』ダウンロードページ
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大作にして名作。
今までプレイしてきたフリゲRPGの中でもトップクラスの完成度でした。
非ツクール製であり、しかもグラフィックや音関係は全て自作であるため、
フリーゲームとは思えない新鮮味を味わうことができます。

　
　
　

【ストーリー】

極々普通の町･･･かもしれない星丸町の少年少女たちが、
ひょんなことから様々なヒーローになれる力を手に入れ、
町を守ったり大切な人を救ったり世界を助けたりするお話。

題材としては結構ありそうに思えますが、
本作品は中盤以降のストーリーがかなりぶっ飛んでおり、
「小学生たちが頑張って事件を解決するほのぼのとしたムード」は長くは持ちません。
「製作者は頭がおかしいのか」「なんでこうなった」と、プレイ中何度思ったことか。
その分、記憶に焼きつく印象は強烈で、終わってみると「まぁこういうのもアリかな」
などと思ってしまうのが不思議です。

また、風刺的な要素や、主人公たちやプレイヤーにとって辛い展開も含まれています。
テキストも独特であり、全体としてはかなり個性的な雰囲気の作品になっています。

【登場人物】

メインとなる主人公は男子小学生ののぞむくん。
彼には台詞は一切なく、行動で個性を発揮するわけでもありません。
つまり彼は純粋にプレイヤーの分身としての立ち位置であり、
それだけに彼の友人たちとの間柄がまるで自分のもののように感じます。

ストーリーを進めていくとクラスメイトが仲間に加わっていき、
親友のゆうき、幼馴染のひめこ、悪ガキのテツ、謎めいた少女くさなぎなど、
パーティは個性的なメンバーによってどんどん賑やかになっていきます。

仲間にしたキャラとは会話コマンドでいつでも会話ができ、
その状況に応じた会話が流れるので「友人たちと一緒に冒険している」ということを実感できるのが、
地味ながらも非常に大きい要素だと思います。
ちょっとしたイベントの発生後や、特定のアイテムを使った後に会話をすると
ちゃんとその内容に関わる話になるなど、そのテキスト量は膨大です。

また、仲間キャラ以外の登場人物もどいつこいつも一癖も二癖もある奴らばかりで、
この作品特有の不思議なテキストと相まって妙に印象に残ります。

【バトル】

この作品の一番の特徴にして、象徴となっているのが戦闘システム。

ストーリーを進めたりダンジョンを探索していくと、
色んな種類の「ヒーローになれる装備アイテム」を入手していくことになります。
これを装備することで、そのアイテムに応じたヒーローになることができます。

30種類以上存在するヒーローはステータスや必殺技に違いがあり、
状況に応じて臨機応変に使い分ける必要が出てきます。

のぞむ専用のサンバンドを装備することで変身できる『サンバーン』

全キャラ装備可能のソードジェルを装備することで変身できる『ソードジェル』

一応生身のままでも戦えますが、
基本的にはヒーロー状態のままバトルしていくことになるでしょう。

他、戦闘システム自体にもいくつか特徴があるのですが、その中でも面白いのが
「HPが0になった際、残機が残っていれば自動復活」
というもの。
残機は1キャラ1キャラが持っているステータスで、
休憩することで残機は3まで回復します。
一部の技やアイテムを使っても回復することができ、
その場合は残機を4以上にすることもできます。

便利なシステムですが、極めて貧弱な、生身の状態で復活するというのがポイントです。
早急にヒーローに変身したいところですが、
変身コマンドを選んで変身するには1ターンがかかるため、
その前にまたHPを0にされてしまうこともしばしば。
このあたりをどうするかが課題になってきます。

【総評】

総合的には、ストーリー面もバトル面も癖の強いRPGだと言えます。
それだけに、波長が合った時はプレイ30時間以上の大ボリュームを
思う存分楽しめます。

興味を持った方は試しにプレイしてみることを強くおすすめします。

ちなみに本作品は、非常に言いにくいのですが、
レトロゲームを意識しているせいなのか少々戦闘のテンポがよろしくないように感じました。
もしも同じように感じる人がいたら、加速ツールの使用をおすすめします。

その際使用するツールはAlquadeではなくRagud mezegisにすることで、
音楽が途中で消えてしまうのを回避できます。
参考までに、自分はRagud mezegisで速度400%でプレイしてちょうどいいように感じます。